140頁からのヒロインの「反省」が、今後彼女を大人にするんだなとは思うものの、花嫁を「略奪された」花婿であるガブリエルさんが、「事件」で心と身体が受けた傷は?
幸せは時に当事者の傍らで傷つく人が存在することがあるが、これは肉親の不幸の原因にされた話。
ちょっと方向はズレるが、昔、女人禁制だった有名な祭が解放され、悪天候が続いた時、女を入れたからと言う保守派の存在がニュースになったことがある。あるフランス映画では、村に不幸が起こったのは、よそ者のはファミリーが入ってきたせいだ、という、やはり八つ当たりみたいな理由で酷い目に遭う話があった。大きな天災でデマが飛ぶこともあるし、人はなぜそういうとき、いわれのない責任を負わせるのだろう。誰かを犯人に仕立てて気が晴れるのだろうか。
この話はそれとは別に、戦況を伝えない彼、戦争へ恐怖を募らせる妻というのが、二人の溝を生む構図も表されている。
仕事のことを家で口にしない夫は居るし、会社での夫の状況が見えずに漠然と不安な妻ならいるだろう。程度の差こそあれ、何もかも話す人ばかりではないし、見えるものなら色々知りたい人も居る。
こと戦争に限れば、太平洋戦争で国民は戦況を知らされなかった。今でも、政治の世界では、国民が真実を知らされないのはザラだ。知れば不安は減るのか、知らなければ不安なのか、知って不安を減らすことも知らないでいれば不安にならないことも、どちらもあるだろう。
教会、王宮共に内部が細やかな筆遣いで目で見て楽しめるのはいい。
事の本質はそこにはなく、もっと信頼を高め合うべき夫婦がなぜ人を介さず互いに直に会話しなかったか、だと思う。他人の解釈が入り込む隙を作った。
気持ちが確信的でないときに承諾したから、二人は理解を深める絶対時間が不足している。彼は、ヒロインを眺めて愛でているだけで連れていったのか?
若いということなのかもしれない。双方とも。ともかくヒロインは幼すぎた。彼は一人で抱え過ぎた。共有しようとの意識が欠落していた。
この話には彼がなんだそうだったのか。というシーンがないまま。行き違いの原因の最大のものが、ということに話が飲み込まれてしまう。
戦争で荒廃した国を再興させる活動、反省のその後の迅速な行動にしては、あまりに漫画内に経過を持たせなさすぎ。
ラナさんのことをなぜ彼女が知っていたのか、なども不可解な気はする。