主人公は、ぱっと見たところでは芋くさくてダサい様子の男性ですが、平時における明瞭な発言や落ち着きのある言動、何があっても一貫して素直な意思表示をするところに男としての魅力があるのだと思います。同様にして、ぱっと見たところでは巷に溢れる童貞の妄想モノのような印象を受けますが、先述したような男としての魅力があるからこそ、女性との関係が紡がれていくのでしょう。加えて、その関係がダラダラと続いたりしない、また逆に破綻したりしない、という物語の進展は、主人公のコミュニケーションに駆け引きが暗に用いられていることに依るものと言えそうです。また別の言い方をすれば、主人公の女性たちとの距離感の掴み方が見え透いたものではないことが読む者をワクワクさせるとも言えます。