本当になぜこの主人公を乳児にしてしまったのか?作者は奇をてらうことで注目させたかったのだろうが、肉体的に首も座らぬ、目も見えぬ赤子がいくら前世の記憶があるにしても苦悩し、努力し悩む姿はとてもバカバカしくて気持ち悪い。ただの俺ツエーにしない作品作りがこれほど逆効果な内容になることもめずらしい。
ましてや周りがそれを受け入れ、庇護するでもなくあたかも一人の人間として受け入れる姿は、ある意味、頭がいかれていてほとんどの主要なわき役たちがそして親までもがことごとく人としての何かを失っているようにすら見える。
せめて年齢設定を4、5歳にしておけば、こんな気が狂った物語にならなかっただろうに、0~1歳児にした瞬間、赤子という存在をリアルとして手に抱いたことのない人のただの妄想のたれながしな物語になってしまっている。
読者がファンタジーに共感できるのは現実離れをしていてもやはりある程度自分と共通している姿に主人公や共演者をおくことで想像心を掻き立てるところなのに、そこにとことん失敗している作品。とはいえ、物語のストーリーで主人公が乳児ということを忘れた瞬間、その瞬間だけは本末転倒ながら楽しめる。