このレビューはネタバレを含みます▼
不本意ながら?すべりどめらしき「中堅私立大学」に入学した主人公が、つまらないプライドにとらわれたまま、友人もできず、家族からも「リア充」のウソを見抜かれ、笑われて、ひたすら「妄想の中の彼女」との、まだ経験のない「行為」を、たった一人の、夕方の教室名で、思いにふけったりして、救いようのない主人公です。/ 善意のある学生も、わずかながら、何人かいるものの、失礼ですが、これで、この偏差値(私立52)、つまり「世の中的には、普通の私大」なの?と思わせるような、おそろしいまでにレベルもモラルも低い学生達や、ひたすら主人公を卑下してくる学生などが、かわるがわる登場し、人格攻撃してくる、主人公にとっては、何が楽しみかもわからない、苦痛の連続の学生生活。それでも、主人公を、気の毒に思うというか、応援できないのは「俺でも、入れた国立はあった。」などと、数少ない、善意の学友にドヤったりしているからでしょうか。失礼ながら、この環境の大学で、講義ノートさえろくにとれないレベルで「国立もその気になれば行けた」と言っているのは、たとえるなら、旧帝に行けなかった「駅弁大学」の学生が「俺でも、その気になれば東大にも行けたと思う。」と言っているのと同じようなもの。ただただ滑稽で、読んでいて、悲しくなってくる… / 同じ作者さんの、前作の新聞社勤務の青年とは、明らかにステージの違う、この行き先のない主人公を、最後まで、どう読み取ればいいのか、わかりませんでした。