ネタバレ・感想あり偽史山人伝のレビュー

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本当に居たんじゃないかと錯覚するほどの
2022年4月24日
著者2冊目の単行本。こちらも主に個人サイト作品加筆の短編集。どの作品もすごく好きですが、特に現実世界と創作世界の境界線を崩してくるところはたまらない。
〜〜〜以下、収録順各話感想〜〜〜
・「日曜は水の町に」水たまりの中の自分と顔を交換した人の話。合わせ鏡のような、自分の奥に入り込む感覚と左右が混乱する感覚が面白い。
・「人魚川の点景」フラスコ内の人魚に対する少年の行動と感情、なくしたくない思春期。
・「人間のように立つ」体に穴が空いている人を友人に持つ人の話。私はあなたとひとつになれない、複雑な感情。
・「姉の顔の猫」双子の姉を亡くした人の話。残された半身のどうしようもない気持ち。
・「現代路上神話」神は認識することで存在するのでこれを読んで私が認識したこれらの神は存在するようになった。特に、神の不在の神が好き。
・表題作「偽史山人伝」山人(ヤマビト)に関する、とことん作り込まれた偽史資料。インタビューの東北らしき方言のリズム感が素晴らしくていかにもなドキュメンタリー感があって良かったんだけどあれは本物の方言なんでしょうか。
・「存在集」色々な存在の記録。特にゆめくさが不可思議かつ美しくて好き。
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作家名: 詩野うら
出版社: KADOKAWA