ベテラン作家様だからか、とにかく読みやすくて感動しました。迷いのない綺麗な線で描かれる癖のない絵柄、手書きの文字も大きめで美しい字体、コマ割りも時に大胆な構図で目を引いて、大事な場面だと伝えてくれるのでストーリーの理解が容易です。ファーストクラスで空の旅を楽しんでいるかのような快適さで、10巻をあっという間に読めてしまいました。
物語自体はドキドキハラハラするようなハプニングや大問題が起こる訳でもないのですが、高校時代から脇目も振らず10年間、一人でドルオタの道を邁進してきた篠田さんにとっては、生身の人間とのやり取りだけでも大イベントであり、推しじゃなくて恋人ができちゃったら、それはもう完全にキャパオーバーです。キリッとした凛々しい見た目とは裏腹に、内心では常にアタフタして、些細な事で盛大に悩んでいるのを見ていると、本当に愛おしくなってきます。出てくる人々全員、篠田さんのギャップを知った途端に彼女が好きになってしまうのも頷けます。それに、ドルオタ歴が長すぎて、何に対してもオタク目線で反応する篠田さんが地味に笑えて、何度も吹き出してしまいました。篠田さんだけでも十分楽しかったけれど、脇役達も魅力的で、割とイイ性格をしていて、みんな個性があって楽しかったです。社会人同士の恋なのに、関係は学生みたいな進み方で刺激は少ないけれど、それなのに中だるみもせず、最後まで休むことなく面白かった!