ネタバレ・感想ありシメジ シミュレーションのレビュー

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シミュレーションという思考の雨
2025年5月4日
全5巻それぞれ139ページ。
4コマ漫画はあまり好みではないので購入をためらってましたが……どんどん4コマじゃなくなっていったので嬉しい。
日常と重なる哲学とでも言えばいいのか、読者に向けて雨のように……時には霧雨のように……時には篠突く雨のように……降ってくる著者の心。この作品について説明しようとしたり解読を試みてもどことなくうまくいかなくて、結局のところ、自分のいる場所に降る雨のようなもの、という感じです。
「自分」と「世界」を隔てるもの、つなぐもの。「存在」や「演算」、言葉の自由さ。この作品について考えると、取り留めのない考えが浮かんではつながりはなれて形なく足元の地面にしみて消えていきます。
すべての解釈は正しくないような気もするし正しいような気もするし、とりあえず作者さんはものすごくいろいろ考えながら描いていそうだなということだけはわかる……気もするけどわかったような気になっているだけかもしれません。
各巻の目次ページを1巻から5巻まで順々に見ると、どことなく人生そのものを感じます。
〜〜〜〜〜
同著者『少女終末旅行』を読んだ後の方が、趣深いと思います。続編というわけでもないので、こちら単体でも支障はありません。
ただ、自分はこれが、「続編でもある」と解釈した上で、この作品の全話数の意味を噛みしめつつあの二人(とこの作中の人物全て)に幸いと平安を祈らずにはいられない。こんなふうな境目の世界の先に「世界」はあるのだろうかというわずかな不安を抱えつつ、わたしたちは不安定な世界を不安定に過ごすしかないし、それが「動く」ということで「生きる」ということに他ならないのだと思っています。
ハイセンス
2020年3月4日
作者の文学~物理に関する幅広いセンスと理解力に裏打ちされた深い世界観が楽しい。何度読んでも、1コマ1コマ見直しても発見がある。
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作家名: つくみず
出版社: KADOKAWA