押見修造先生の作品は以前からずっと気になってはいるのですが、読後しばらく何も手につかなくなりそうで、なかなか手を出せないでいました。短編ならと思い、今回こちらを購読した訳ですが、読後はズーンとなりました。この短さで、これほどのダメージを与えてくるところが凄い。
日下部さんは自称17歳で、この若さでここまで堕ちる、いや到達してるのは、一体今までどんな人生を歩んできたんだろうと色々妄想してしまいました。情緒不安定で、心を病んでいるようにも見えるけれど、そんな自分を悟りの境地でただ眺めているようにも見えます。社会で生きるには切り捨てなければ生活が回らなくなる瞬間瞬間の感情を、全部拾って生きている。日下部さんみたいに、いちいち感じていたら、そりゃこんな破滅的な生き方にもなるだろうなと思いました。でも日下部さんは、だからこそ生きてるって感じがする。その辺がエロく感じるのかもしれない。主人公の男は生きているけれど、死んでるみたい。彼は日下部さんを拒まず、受け入れて、でも離れていった時はホッとして、それでも諦めきれなくて・・・。感情を切り捨てて、死んだように生きていくのはもう嫌だと、あがいているようにも見えました。