何故か眼鏡を外すと美人だった、とのありきたり設定はHQにはゴマンとある(少女漫画では40年以上前に廃れたタネ)が、逆は少ない。自分のために表面上まで変わってくれる男性の方が世の中少ないからなのか。
ヒロインの望み通りに、否ヒロインの父の好む通りに、この作品は彼が、上流階級の紳士を演じるレッスンを受けてくれる。
それだけで普通居ない男性という意味で既に十分HQなのだが、加えて父親によって幸せから遠かったヒロインを幸せにするこれまたHQらしさ一杯。
一方、ヒロインが彼の前に現れる初対面からのシーンは勢いがあってカッコいい。
彼のヒロインへの気持ちが、いい加減なチャラ男でないというのも何だかいい。
危険な賭けだったが、婚約者の選択なので、予想される結末に向かうヒロインの行動の序章として、ヒロインが悪者にならない物語としての小さなフォローが効いている。