戦前から戦後にかけての激動の時代を生きるふたり、踊り手と御曹司のすれ違う恋のお話が描かれている。互いに肝心なことを伝えない(伝えられない)がために、すれ違いにすれ違う。そう言う時代だから仕方もない、と言われればそれまでだが読んでるこちら側としては切ない。やり切れない。時代背景に想いを馳せると、ことさら切ない気持ちになった。展開としては正直タイミング等がうまく行きすぎというか、ありえない部分もあり、やっぱり現実はこう上手くトントン拍子にはいかないんだろうなと思うが、このふたりのような奇跡が実際に存在したのではないかと信じたくなるくらい、互いに想い合うふたりが素敵だった。繊細で美しい束原さき先生の絵柄が、時代やストーリーに合っているのもよかった。