登場する大人ほぼ全員に嫌悪感を抱きました。
自分勝手な大人が子を成して洗脳し育てた結果同じような自分勝手な大人になり、その子がまた子を産み無意識に支配下におき追い詰める地獄のような構造。
静かに少年たちの心を傷つけ、それを手当するフリで敵意がないかのように近づき少しずつ確実に洗脳する。
家族という器で縛り、田舎町という狭いコミュニティの悪い部分が働き更に少年たちから呼吸を奪う。
読んでいてずっと息苦しさを感じました。
ここまで人間の様々な不快さを描ける表現力に脱帽です……。
過激な描写もあれど大半は違和感程度のヒビが各所に散りばめられていて、それがつながった瞬間大きな穴が空き飲み込まれてしまうような怖さがありました。
全体を通して静寂のなか突然底知れぬ闇に飲まれる
深夜の真っ暗な海を彷彿とさせる作品でした。
思春期の色んな葛藤も繊細に描かれていて一話一話考えさせられることが多く読み応えがあります。
私個人は終わり方は好みではなかったですが現実なら多分こうなるだろうと納得する部分もあり、そのリアルさに人生は地続きなんだなと思わされました。
丁寧に描かれた出口のない生きづらさを味わいたい時に是非おすすめしたいです。