海皇紀が始まったのは自分がまだ二十代の時だった。
岬を回って八番艦が現れた時の記憶は鮮明に残っている。紙の本を何度も読んだのと某コミックサイトで無料公開されている部分を数年前に読んだからでも有る。
海を舞台に帆船が活躍するマンガは初めてだった。作者が後書きで述べているように風向きを無視した「帆船」しか知らなかった者としてはとても新鮮だった。
ファンの飄々とした姿は「修羅の刻」の主人公たちを思い出させる。作者の好きな人間像なのだろう。どんな危機でも顔に出さずに乗り越えてしまう。かく有りたいと思う。
20年かけて完結したのが今から15年前。でも古さは感じない。多分名作として語られる作品になるのだろう。
この作品、読みつがれて欲しい。未読の方には是非とも、既読の方には今一度読んで欲しい。僕と同年代の読者なら一緒に布教しよう。川原作品の素晴らしさを。