タイトルにある「向井くん」は確かにすごいんですが、彼を含め登場する子たち全員に必ずどこか性格的な欠陥があるため、なかなか人間味のある面白い作品です。ゲイであることを隠している子、オープンにしている子、正義感(思春期にありがちな)に燃えている子、周りの人たちに好かれたいと思っている子などなど、それぞれが色々な立場の思春期の高校生の心理を具体的なシチュエーションで鋭く描いていると思いました。作者さんは鋭い洞察力があると同時にご自身も色々なことを経験されて悩まれたのでしょうね。多くのキャラクターが上手く描き分けられていて、軽いタッチですがとても読み易いマンガです。高校が舞台ですが、大人も社会で他人と関わる中で考えるべきことが多く提示されていると思いました。普段少女マンガとBLしか読んでいないのですが、青年マンガってこういう面白い作品があるんですね。読んで良かったです。