先生の作品としては珍しい作風で気になっていた作品。お気に入りの店のパティシエ・新稲と一人娘を愛するシングルファザーの編集者・栗栖のお話。ずっと隠してきた性癖を新稲に暴かれ翻弄される栗栖ですが、娘第一は貫くし、手練れた感のある新稲も栗栖にはグイグイきても娘との関係を尊重している所に好感が持てます。父親としての葛藤や、恋に本気にならなかった新稲が嵌っていく様子は良かったし、子育ても恋愛も先生の描かれるエロいエチもあり全体的にバランスがいい作りになっていると思います。ただ284Pと大ボリュームにしてはサラっと読めてしまうのでもう少し満足感がほしいなという読後感でした。あとがきにシングルファザーの話作りにご苦労されたとありましたが、先生の今までの作風から見ると本当にそうだろうな、としみじみ。でも色んな作風が読めるのは嬉しいです。あと、栗栖のお母さんがとても素敵でした。