ネタバレ・感想ありジェリコーのレビュー

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身震いするほどの衝撃と感銘…心に嵐吹きマス
ネタバレ
2022年5月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★美(しんじつ)だけを見つめ、制作し続けたフランス画家・版画家「テオドール・ジェリコー」の魂を追う物語。(5/12までお得ですね)

★19世紀初頭、フランス激動の時代、絵を描く男ジェリコーは、イタリアからパリへ帰郷した…。

★表紙からしばらく目が離せませんでした。絵もデザインも、細部まで美しい…。美事な人と馬の融合に感嘆。巻末にカバー見開きが収録されていますが、こちらも見惚れます。と、表紙だけでもそのインパクトに心揺さぶられますが、内容の衝撃は、言葉では言い表せないくらいです。作品が持つ影響力のみでなく、ジェリコーの生涯が後世に語り継がれるほどの劇的なものであったと言いましても…、心に嵐が吹き荒れるような漫画として描き上げた中原たか穂先生に感銘を受けます。しかも、初連載、初単行本とのこと、驚きです。この作品と出会えたことに感謝します。

★フランス美術研究者・西嶋亜美氏による解説含め265ページ。読み応えしかありません。人間の本質(しんじつ)のみを追い求めた先、「何もしてこなかった」と嘆く彼に涙があふれましたよ。「人間」とは、「生命」とは、「芸術」とは…数百年経っても、同じ命題がここにあるような気がします。

★ただ1つのレビューにも惹かれ、購入の決め手となりました。感謝です。あとがきにありました豪胆エピソードも楽しみですね。余談ですが、作者様のことを検索していて、YJで『パドル』、ツイで『パリの恋人』が読めまして、ぜひ短編集として書籍化してほしいと思いました。私の好きなジャンル…フフ。
一枚の絵に込められた人生
2022年3月26日
19世紀初頭、激動の時代のフランスで、近代絵画の先駆者と呼ばれた画家、テオドール・ジェリコーの半生――。

凄みを感じる装丁。
絵も登場人物も荒々しかった。
ジェリコーの、火花を散らすような激しい衝動をそのまま原稿に落とし込んだ感じ。

裕福な家庭に生まれ、美貌に恵まれ、才能にも恵まれた彼が傲慢になるのは仕方のないことなのか…
実際にあった過去の凄惨な遭難事故を、歴史に残る名画として描き上げてゆく過程は鬼気迫るものがあるけれど、自分も周囲もなりふり構わず犠牲にしてゆく姿は読んでいて少し苦しかった。

重厚な読後感。
そこには善も悪もない、ただ真摯に生きた命の物語…いろいろと胸にずしっとくる作品でした。
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作家名: 中原たか穂
ジャンル: 女性マンガ 歴史 / 世界史
出版社: KADOKAWA