後世悪し様に言われる歴史上の悪女たち。それは彼女たちの本当の姿だったのか…?という作者の発想転換により生まれた作品集。
史実を元にしてますが、正史とは違う面から見た「歴史」です。
修行中の狐、夜烏が狐の仙人に命じられて使命を果たすため人間の世界に遣わされる、という設定。
作者は古代中国が好きらしく、殷、漢、春秋、三国、 秦、唐の楊貴妃と、B.C11世紀前半〜A.D8世紀半ばまで、夜烏の「修行」はかなり長期にわたります。
身分や時代の制約に縛られるしかなかった人たちが多く、彼らは夜烏とのつかの間の邂逅で自らの生をふと顧みます。なので、人間味と同時に憂いを感じる話が多い。それ以前に厳しい歴史的事実があるのですが...。
旅芸人の身なりで蓮っ葉な物言いの夜烏ですが、大切なものを喪った過去があり、狐の仙人の計らいにより記憶を封じられています。徐々に記憶が戻って心が揺れていく夜烏が哀しい。作者は過去に傷をもつ人を描くのが本当に上手いと思います。
美麗な絵はそのままだけど、ペンが変わったのかな?初期の作品はかなり細い線だったけどこのシリーズは以前と比べるとやや太い。
歴史って、人間って一筋縄ではいかないんだろうな。物悲しい空気を感じつつ、ページを閉じました。