スマホでベートーベンのオペラ、フィデリオを流しながら読んでいます。芸術オンチと言われながらもドイツ人の少佐にはベートーベンがしみついているのですね。年末の日本人の大工?みたいなものでしょうか、あの体格ですから、いいバリトンをもっているかもしれません。少佐の個性がバリバリに光る一作でした。
いいまんがは、色彩や風景だけでなく音楽まで聞きたくなります。とはいっても、発表時にこの田舎町ではベートーベンのオペラなど、どこを探してもなかったでしょう。ワンタッチで聞きたい音楽が聞けて地図はおろか入国方法まで教えてくれる、凄い時代になりました。スパイなんてご用済みで、少佐の部下たちは画面に向かってひたすらキーボードを叩いているだけかもしれません。
でも、三年前に少佐もしくは他の誰かが
“ウクライナはいかなる犠牲を払っても抵抗するでしょう” と囁いてくれていたらプーチンもあの泥沼には突っ込まなかったのではないかと思うのです。少佐は郵便袋を抱えてモスクワに飛んだかも。足りなかったのは情報収集能力か?分析力か?まさかプーチンが古い戦争を起こすとは思わなかったというへのが本音かもしれません。四十年前の話ながら残念にも古い話にはならないこの現実。私たちには退きながらも目と耳をすます必要があることを教えてくれます。
とはいえ、いつも以上にブレないエーベルバッハ少佐、苦悩しながらも2倍マシマシのアクションを披露して満足させてくれます、ただ、スープの底に残った粉が胡椒ではなく、正露丸だったような気がして.....