現時点では無料1巻のみ。死体の眼がとても綺麗に描かれ、生涯を終える彼らが最期に目に映した風景は何なのか。想像する健匠くんが印象的でした。想像が事実だったかは判らない。現場検証からの推測が当たっているかは判らない。でも死の世界に旅立った彼らが最期に眼にしたものが、どうか幸せな思い出でありますように……。動物を題材にしたお話というだけで、号泣ものですのに、どれも視点が美しい話。観察的な健匠くんの思考も、既存の専門知識に長けた茨戸くんも、将来の獣医師として立つ人間として突出した才能を有しているのだなあと思います。感情的にならず、大人ですら敵わない冷静な表情はヒューマンドラマではなく、ひと味変わった変異的な動物物語を創り出しているようで、ゾクゾクします。時折、自分が人間を見つめる動物側になったような錯覚を覚えてしまうほど不思議な感覚の物語。個人的に人間側として胸に詰まってしまったのはシマリスと黒猫のお話。自分が愛犬を亡くした時の事とシンクロしてしまって、どうにも泣かずにはいられませんでした。