夏なのでちょっとホラーテイストな作品のレビューを。“アンテン様”と呼ばれる神様にまつわるオムニバスです。
神出鬼没の黒い鳥居、それをくぐった者だけが出会える“アンテン様”の祠。大事なものと引き換えに願いを叶えてくれると噂されている。
しかし願った者の死と同時に、叶ったもの全てが消えてしまうらしく…。
こちら、ストーリー的には“笑ゥせぇ○すまん”のような流れです。狂言回しは巫女姿の少女。鳥居の内側に迷い込んだ者の前に現れ、興味を惹かれずにはいられないこんな言葉を囁きます。「強い想いがこもった供物を捧げれば、“アンテン様”が願いを叶えてくれる」。
この言葉に魅了され、供物を捧げた者たちの行く末が描かれていきます。
傲慢な者はそれ相応の末路をたどり、逆に心清らかな者は優しい結末に。何回も煎じられているストーリー展開ではありますが、私はこれ系がすごく好きで。こちらも面白く読ませていただきました。
お話は現代が舞台のものもあれば、過去の時代のものも。後半には“アンテン様”の由来も描かれます。
巻数もさほど多くないので、サクッと一気に読んでしまいました。教訓にしたいエピソードあり泣けるエピソードあり、様々なお話が楽しめます。