多種族が共存する世界で弱者かつ悪とされがちな人族の少女が、裁縫の腕と滅私奉公のように他人に寄り添えるという才能で沢山の相手を幸せにしていく物語。
最後まで、彼女の幸せはあやふやなまま。だけどそれは彼女の未来には無限の可能性があるということ。この先もヒロインは賑やかな面々に囲まれて生きていく。その中の誰かとの関係が変わる日が多分来る。誰と、どんな未来を選ぶのか。全て読者に委ねられて物語は閉じる。
物語でも多様性がキーワードだったろうと思うけど、ラストもある意味究極の多様性を感じるものだったかも。たぶんこの人との絆を大事に生きていくんだろうなという終わり方だけど、2人の関係は恋人未満。家族愛がやっぱり男女の恋愛に変容する可能性もゼロじゃなさそうだし。私は何となく、このままあやふやな幸せのままでいてほしいような気がしました。読む人の数だけラストのその先がある物語でした。