かわいらしい感じにお話が進んでるな~と思ったら、突如としてトンデモな展開が転がり込んできて、これから主人公に風が吹いてくるのかな?と思いきや「私たちのスローライフはこれからよ!」完!!!…どうみても打ち切りです、本当にありがとうございました。
こうした終わりを迎えてしまったことに、納得できる部分もあります。お話自体が、主人公を盛り立てるために結構無理矢理な世界観をしているなあと感じる部分が節々にあり、例えば1巻の時点ですら『システムキッチンを作る技術があるのに蛇口を知らない』『むしろ水道も知らない』などの、他の転生令嬢なろう作品と比べてもちょっと度が過ぎてるかな~と感じる設定があったりして、そうした部分で引っかかりやすい作りになっていました。
でも、この作品の持つ雰囲気は好きでした。お話について批判的な意見を出しましたが、主人公が料理で周りを感化させていく様子をほほえましく思えてしまう、キャラクターとしての愛らしさのおかげで、実際に読み進めていた時はこんな風に重箱の隅をつつくようなことはそこまで考えていませんでした。また、漫画担当の森名尚先生の絵も、この作品に親しみを抱かせる要員の一つであったことは間違いないです。悪役令嬢みたいな転生令嬢漫画はだいたい背景キラキラ花びら舞いまくりの美麗系が流行りですが、そこから外れていても、やわらかくて味のあるタッチで描かれるキャラクターたちには特別な魅力があったと思います。
もうちょっと先まで伸ばせる可能性が見える作品だったので、こうなってしまったのは非常に残念です。