他者の悪意と害意を原因として犯した自身の罪を許すことのできない登場人物達の数奇な運命の断片。
徹頭徹尾悲しくて辛くて可哀そうな設定・展開が続き、一瞬訪れる穏やかな時間も薄氷の上。主要キャラクターが例外なく自分なんて消えた方が良いと思うまでに精神がすり減っている状態。主人公たち以外の他者の悪意・害意の描写が凄まじく、その上全ての不幸の元凶となった人物はすでに故人であるためヘイトの向け先がいない。そんな不幸の底にいるキャラクター達が前に進もうと思えるようになるまでを描いていく良作だが、前述の通り非常に悲しく辛く可哀そうな状況が続くため、そういった系統が苦手な人は注意。特に登場人物に感情移入して物語を読む方は、心が落ち込んだ時に読まないように。