内容は薄い。
主人公婚約者相手令嬢全てに決定的な非がないため、ヘイトの向き先が無くそのためざまぁ要素はほぼほぼ無い。悪役令嬢ものの始まり方でこの展開は稀有で、上手く展開すれば面白かったかもしれないが……。
主人公と婚約者は共に王族・貴族として、次期国王・王妃として、その覚悟も責任も誇りも全く足りていない。騎士になりたいとか身分を超えた関係性を育む国にしたいとか、王侯貴族としては完全にアカン方向に動く。お前たちの仕事は国を護って民を導くことだよ。それを捨てて騎士として生きる覚悟があるなら髪を切れ、せめてがっちり結え。確実に戦闘の邪魔だろ。自分の役割に対する覚悟ができてるのは、2巻以降の相手令嬢だけだよ、情けない。
そうして本来の覚悟と責任と誇りを捨てて手に入れた先で何するのかと言えば、薄っぺらいラブロマンスである。しかも本来の目的とか同僚の安否とかガン無視で浮ついたりときめいたりいちゃついたりする。団長は完全に主人公贔屓。お前達は何をしているんだ、を地でいく行動しかしない。何なのこいつら……。
本来の覚悟も責任も誇りもなく、騎士となった後の覚悟も責任も誇りも薄っぺらい。やってることは結局他の恋愛ものと大差ない。細かな設定や展開もきちんと読むと突っ込みどころが多い。
人物描写は美麗なので、ありきたりな内容の変わった設定のラブロマンス、として読むならまだ面白いか? ただ、絵で評価する場合も戦闘描写が稚拙で、魔物の描写はギャグマンガレベルなのが非常に残念であるのだが……。
人物作画が奇麗なただの恋愛もの。各所でシリアスっぽく深刻ぶるが、結局恋愛描写に落ち着くので、その点は安心して読める。逆にストイックな騎士道とか見た目上の男装の令嬢要素、所謂悪役令嬢もの的展開や主人公の成り上がり的展開は『皆無』なので、注意されたし。