HQ の専用テーマではありませんが、子どもがいることで、展開が弾む、というのは、HQ あるあるのストーリー。
これまでたくさん読んできたような設定です。家族を持ちたくない、子どもは要らないと言っていたのに実際に顔みてからは・・・という、骨格だけみると本当にベタな筋書。
けれど、散りばめられてる設定は紛れもなくハーレクインの味付け。そして、このハーレクインスパイスの効かせ方は大変に巧み。さらりと綺麗にエンディングまで運ばれて、そこは全然泥臭くない。だから、妊娠を原因とする恋人関係の崩壊と再生が、そのプロセス中、ただ美しい。
しかも女性が品があって美しい。
男性キャラの描かれ方がこのお話の難所。一歩間違えば面倒なストー××、ギリギリのところで、冷めない愛情、消えない情熱に昇華されていて、こわいしつこさではなくて、本当に好きだったのだなとの説得力になった。
幼子抱えて、あれだけ素敵にシングルマザーというのも、一篇のひとときの夢物語として凄くいい空気を吸わせてもらえた感がある。
男性の顔はタイプではないが、ヒロインと二人のシーンは、絵としてこれ以上の相手はいない位に調和していて、見ている自分に幸福感を分けてもらえる。