不幸な出自で虐げられてきた貴族令嬢のお話です。
事の始まり、彼女は自分と同じく不幸な生まれの皇子と相思相愛になりようやく幸せになれたのですが、幸せな結婚をしたのも束の間、彼女は皇子の母方から受け継いだ特殊な能力（いかなる戦況もひっくり返すという戦の才能）の代償として、夫の身代わりとして命を削り続け若くして亡くなってしまいます。
邪な想いと欲に流され、息子を戦の駒として使い捨てとしないがしろにする皇帝は、彼女との離婚をちらつかせながら皇子をひたすら戦にかり出し続けます。
戦し続けたことで彼女の寿命はさらに縮められ、幸せな結婚生活は始まったばかりだったのに、たった10年で死期が来ます。
夫と殆ど一緒にいられなかった彼女は「もう少しだけでも一緒にいたい」という強い思いを抱き亡くなります。…すると再び目が覚めたのですが、時間を遡ってしまっていましたというのがプロローグで…そこから彼女の「夫と再び結婚して幸せにする」という野心的活動が始まります。
とても小気味よい物語です。登場する人物人物が魅力的で、何より彼女が前世の記憶チートなのもですが「愛された事がある人」としての自信と強さがあり、
今世では何もかもにたいし強く・真っ直ぐに吹っ切れて生きていくので、それが色んな周囲の人達の生き方・考え方に影響していきます。
「今度こそ、愛する人を幸せにしたい・もっと幸せになる方法があったはず」という強い願い・想いが生む行動が、前の人生とは違う未來を生み出し周りの人々のもつ善き面を引き出していきます。
本当は妹想いだったのに、不器用で前世では伝え切れていなかった兄公爵と彼女との兄弟愛、また前世を知った状態の彼女と兄弟愛を強くした、公爵である妻の兄と今世では共闘の道を歩み始めた皇子が、今度こそ幸せになろうと頑張る姿に癒やされ励まされます。
読んでてとても幸せな気持ちになります。お薦めです。
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