ストーリーの基本はよくある無自覚チート無双の系統だが、プロローグに当たる序盤の展開・設定が特徴的で、構成担当の方の特徴だと思われるが非常に大胆な構図や演出が光る作品。
懸念点は、非常に上手い系統なのだがかなり見づらく慣れのいる絵柄と、説明台詞等での解説が無いとどういった状況や場面なのかが絵だけで理解できない事態が散見される点。それに加えて主人公の能力が現状何でもありなチートオブチート状態であり、かつ細かな設定が意味不明なことが多いこと。魔法やら魔術やらでそれっぽく体裁を整えてはいるものの、現状は原因と結果の間にブラックボックスがあり、因果関係が繋がっていない設定が多い。例えば、主人公のメモを纏めて製本しただけ(内容は主人公自身が直接書いてすらいない模様)の原本が異常な魔力を発生して常人には開くことすらできない、なんで? といった感じ。
主人公が幼少期の経験から常識的な人間性が完全に壊れている感じは、よく見る造られたサイコパス的な印象が無く恐ろしく的確に描写されていて面白かったが、これも好みが分かれそうな点。
卓越した構成・演出にマンガとして致命的な絵で伝えないという状況、主人公のチートを称えるために作られた設定のガバ、という評価に困る要素を持った作品。絵柄に抵抗がなく、最強チート無双系が好きな方にはお勧め。