このレビューはネタバレを含みます▼
並木天生には自分以外の誰にも見えないお友達イソラがいます。イソラは天生が小さい時からいつも側にいてくれて、両親が留守がちで友達もいないひとりぼっちの天生に寄り添ってくれているのでした。美大に進んだ天生は、そこでイソラにそっくりなモデルを描いた絵を見つけて驚きます。描いたのは斉藤万里という青年でした。1時間かけて通学する万里を、天生は自分の校門脇のアパートに泊めることになって二人は色んな話をします。奨学金とバイトで頑張る貧乏学生の天生、エリート志向の両親から逃げるように美大を選んだ万里とお互いの背景がわかり、そして万里の絵のモデルはイマジナリーフレンドみたいなものだと教えられるのでした。切なく優しいファンタジーはエロなしです。二人をそっと見守るイソラの静かな微笑みが心に残る美しい中編でした。