静かに胸を締めつける恐怖と、切実な純愛が同じ呼吸で進行していくホラーミステリー
村に漂う澱んだ空気や、言葉にできない“祟り”の気配が、淡々とした画面の中で確かな質量として迫ってきます
亜瑚の視線を通して描かれる不安と喪失感は、読者にもゆっくり染み込むようで、頁をめくる手が自然と慎重になる‥
一方で、物語の根底にある「誰かを想う気持ち」は痛いほど純度が高く、恐怖と愛が同時に胸に刺さる構造が魅力的👌
演出は過度に煽らず、あくまで静かに積み上げるスタイルなので、緊張感の持続はかなり強い
後を引く読後感と伏線の気配がじわじわ効いてくる構成は、ホラーより“物語”を楽しみたい層にも推奨できます
純愛と怪異が同価値で語られる、その独特の“怖さの質”が、読み手の心をじわりと侵食していく魅力へと結びついている一作