ネタバレ・感想あり箱庭綺談のレビュー

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寄宿舎という鳥籠の中で羽化する彼らの物語
ネタバレ
2025年6月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 箱庭の小さな世界の中で、幾多の夢や希望・孤独と絶望に溢れ、曖昧な境界線に苛立ったり悩んだり…
他者の醜い欲望や若さゆえの暴走に巻き込まれたり、かけがえのない良き友人やパートナーを得られたり…色濃く凝縮された、羽化する彼らに青さと学びを得られる大好きな作品です。

1話ごとの構成と伝えたい想いが細部に込められているし、登場人物や家格紹介もあるので、2巻から読んでもOKですが、生徒同士の繋がりや背景がより面白くなるので1巻から読んで欲しい。制服や世界観紹介も1巻に掲載されてるので深まります!
逆に1巻しか読んでいない人がいたら、10年後の凛々しい藍くんを見逃してるから損です。

2話の「君の紅茶が気に入ったようだな」のセリフで、タイトル通り、儚いひと時の夢に想いが爆ぜて泣いたし、手紙が届く度に憂う非色に自分の宝物を見せる優しい藍くんが愛おしいし、人ならざる者との密会や交わりに罪深さと美しさに惑う。

2巻は我が推し藍くんの幼少期から10年後までを篤とご覧あれ!
不器用で表現力が少ない父親から愛や興味を受診するために、父へのアンテナに精一杯向き合い好きを共有してきたのに、再婚という強制的な他者への関与に私も心を痛めた(藍父のメガネに毎日指紋つけたろか?)
それでも自分なりに対話を試みたり、気持ちに折り合いをつけたり、プラスの方向に舵を切れる思慮深い聡明な藍くん…Love。
烏森先生に心酔してしまうお話も藍くんを語るのに大事。父と継続することが出来なかった共通の好きを、先生を通して重ねていってるようにも見えたし、肯定して理解してくれる唯一の味方に見えたのかなって。10年後はしっかり自分たちの足で立ち、未来を切り開いてる姿に感動。
作中からバビルサを知り、藍くんの自室で見つけた時は嬉しかった。
「若わせるのと 笑われるのは違う」「オレの時間を無駄にしていいのは オレだけだ」というマインド、見習います!
「色んなものの中から一番しっくりくるものを選び取って 君自身を形作っているだけ」に背中を押されたり、他の数あるセリフに共感したり気付きを得たり。
制服の身につけるタイや小物が自由なので、個々のスタイルを見るのも楽しいし、タイトルの四字熟語に唸るのも好き。
とある世界で生きる彼らの羽ばたきを楽しんで欲しい。
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概念的「少年」と内面の思考の真剣味、良い
2025年1月22日
1巻286、2巻238ページ。
((2025.7.改稿))
寄宿舎を舞台にした群像劇。BLジャンルではありますが、ラブメインではない、主役交代型の連作です。
著者作品としてはシリアス分量が多めなので、私好みです。思考にも真剣さがあって良い。……でもちょいちょいギャグテイストは入る。個人的には、耽美は耽美で突っ走って欲しい……耽美さを嗤って見てる人をもいつの間にか耽美世界に引き摺り込んで欲しい派なので、星5つに届きません……なんて1巻段階では書いていましたが、2巻を読んで星アップの星5つです。苦手なギャグテイストを捻じ伏せて、展開の好みが勝利しました。
1、2巻の表紙の二人の話の畳み方がたいへんに良かったです。寄宿舎もので、二人の内面を率直かつ真面目さをもって描写し、単純な恋愛に寄らない、「魂が近い」関係を丁寧に描き切った……この満足感は久方ぶりです。その関係性にも、その生き様にも、既成の名前はつかない……ただ、彼らは彼らである、ただそれだけの単純なこと。最高です。
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半ズボンにリボンタイ、ソックガーター、トドメにパフスリーブの制服、いわくありの少年達、そして寄宿舎。この気分が上がりまくる舞台設定は2巻までで一旦幕を閉じ、現在連載中の内容は「七宝国」のファンタジー設定の方にシフトしています。そちらも楽しみ。
各話タイトルに内容を表す四字熟語が配されており、それもまた厨二ゴコロをくすぐられますね!難しいのでググりました!
まだ連載は続いていますが、連作形式なので1巻だけの購入でも続きが気になるタイプのもどかしさはありません。
1巻では第五話の『不易流行』がスパッとしていて好きです。
できれば2巻まで読んで、寄宿舎編を余すことなくお楽しみいただければと存じます。
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「でも少し…この風…泣いてます」って言いたくなった人は私と握手!
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