ヒロインの父親と部下(!)の狂言回しが楽しく、アラスカ先住の民の登場人物ベン・アトラの言葉が意味深長で話を弾ませる。
アラスカという、雪と極寒の地の過酷さが随所に表現されるのに、その厳しい日々が雰囲気の明るさで緩和されている。
絵柄が少々、先生の初期の作なのかと思える所がある。橋本先生は野性味ある男性を魅力的に描かれるのに、と思った。
HQはなんちゃってシークものでは結構な割合で砂漠環境がないがしろだが、アラスカが舞台となるとこうも読者にヒロインの、此からの日々への覚悟を共感させたいのかと驚く。
医療を充実させるのも大変な様子を、リアルさ前面で。
しかも、ハプニング多い展開でスピードあるため、終わりまで、HQにありがちの、彼が愛を自覚、告白、仕切り直しのドラマチックプロポーズ無し。
この作品のなかではそれで文体統一みたいなのを感じるが、あちこち橋本先生の表現力の高さを見られる為、それならばもっとロマンス成分が彼から発散されてくるシーンが欲しかった。