好きで一緒にいたい ずっといたい。引き離されても気持ちが戻ってしまってやっぱり好き。
お互いが好きなら好きな人以外の人とは考えられない。だけどそれがダメなら別の人と生きられるのか? 男のほうはヒロイン以外は本命出現せず。ディランは、今もヒロインのことを深く好きでいるのに望みを叶えるつもりはないようだった。ヒロインもまたディランは特別な存在のようだが、心当たりなく以前彼から想いを退けられ、といって、他の人では結婚は結局無理だった。
このストーリー頭にくるほど親の言い方がきつい。使う言葉と行動が激しくて容赦がない。そんな風にぶつけられる相手のことも考えられない、人間としてどうかと思える身内なんて、いくら自分のことを深く愛してくれての言動であったとしても、私なら恥ずかしいし、本気で詫びたい。このストーリー、ディランのサイドで当初は展開、読み手としての思い入れもディランに傾斜入ってきているだけに、義憤を抑えきれない。自分の味わったことから子を絶対遠ざけたいとの親心もわからないではないが。
このストーリー、傷つけられたディランにしっかりと詫びる場面、または、その確執を過去のものと出来たような強い二人の関係復活描写がない。詫びるだろうと思わせるものの読者としては見届けられない。ましてや、張本人、一番の加害者が白状だけでストーリーが終わってしまった。そこで読み手は靄が晴れても、話の中の人物たちは、きっともう大丈夫だよね、程度でエンディング。
わたしの気持ちは収まらない。前方に明るい方向は提示されても、わたしの中でストーリーがトンネルを出られなかった。
ディーンの結婚の回に出ていたヒロインは、この話とつながらなかった。
ディーンの突然身内になった人たちが、当惑で始まりながらも徐々に交流が深まるかもしれないとの希望を抱かせるほうが、よほど二人の未来には悪くないと感じてしまう。
ところどころ現実感の乏しいシーンがある。一つ一つのエピソードの結合が弱く、それこそヒロインのたどった断片的な記憶回復のように感じる。後からでも筋一本として、駆け落ちや大学時代の再会、その前後の補足ができる肉付けが欲しかったように思う。
本当に幸せになれるのか、そこのところが今いち安堵感を充分抱けなかった。
幸せの結末が売りのHQには私は、どこかもっと力強い幸福を見せつけてほしい期待をしてしまう。