このレビューはネタバレを含みます▼
初読み作家様ですが表紙に強烈に惹きつけられました。夏の空は青くどこまでも広いはずなのに、それも自分も全て傘の内側に閉じ込めて外に出ていかない、出ていけない?少年が一人。まだ読んでもいないのに深読みし過ぎかなと思いつつ、気付けば購入していました。
これは…。
以前母と交わした約束に縛られ動けなくなっている男の子がいました。出棺の際にも一人この約束を心の中で交わしていたけど、これは当時のキヨが心の均衡を保つ為に必要なものだったのでしょう。自分がここにいれば母と弟は寂しくないはず、その思いはキヨ自身をも慰めてくれていたのでしょう。
でも時は過ぎていく。キヨは生きている。
周りにはキヨを想う人がいる。父、幼馴染のよっちゃん。加えてどうかキヨに想像してもらいたい、母と弟が今の自分をどんな想いで見ているか。
よっちゃんが連れ出してくれた、父が思い出の浴衣を差し出して送り出してくれた盆祭りで、確かに感じた2人の魂は自分に何を告げたがっていたか。
遺された者にとって、故人を一瞬でも忘れてしまうことは激しい罪悪感に苛まれるのかも知れない。キヨみたいに感受性の強い子なら尚更。
どうか家族と友だちと時間薬に支えられながら、いつかは悼みではなく穏やかな気持ちと共にキヨが2人を思い出せるようになりますように。
38ページと短いのに重厚なストーリーでした。
ぜひこの作家様の他の作品も読みたいと思います。