恋しても好きなひとが自分を好きになってくれなければ普通そこを脱しません。
反対に、恋愛抜きの人もいるでしょうし。
好きなひとが出来ることが目的だったのか、脱☆☆したかったのか、どっちなのかわからないストーリー。好きなひとが自分を好きになって、という過程だけではオハナシにならないから、サスペンス色が加えられたように見受けられますが、サスペンスの出来がもう少しマットの高い諜報能力を見せ場として貫いていた方がよかった気がします。
ヒロインを疑う、否、「全社員」を疑ってたのではなかったのでしょうか。ならば、どうしてー???
この話は、容疑者探しというのが骨格で進行しながら、本格的諜報活動の手抜かりを疑わせる流れ。なんと敵はそこにいたのか的なストーリーで片付けられています。またヒロインが有能なキャリアウーマンであるはずなら、ドジぶりが現れるのもそこじゃない気がします。人間臭さを出すのは、こと恋愛面、というのならわかりますが、日常的な場面で多いと冷静とか知的とかの設定とはやはりそぐわないと思ってしまいます。
絵も、私にはディテイルに、特に二人の場面は特に、なにかが通いあう場面とか、つい惹かれあって気持ちが近づいてしまう場面とか、もっと二人の恋の盛り上がりを裏付けるロマンチック描写が欲しいと思いました。
キスも、ハプニング要素強かったのわかりますが、その他のところで、キス以上に進まない分、二人それぞれが自覚シーンを迎える描写では、ただ苦しい、といった言葉で辛さを説明されてもなかやか感情移入が追い付きませんでした。二人で通わせて確かめるシーン抜きで最後まで読ませるためには、会っていない場面で個々に相手への想いが滲む、その悶々とした様子を見たかったと思います。