王の母は最初の登場と後では随分印象が違う。冒頭の登場では、早く自分の選んだ女性と結婚して王としての務めを果たせとセッツく傲慢な王母を感じさせていたのに、孫を連れ帰った時はそれでいいよと寛容な只の母に変わっていて拍子抜けした。ここでひと悶着あるのかと。麻生先生の描く男性の顔は鋭くて感情が表に出ていないから先読みがし辛い。よって、感情移入するポイントをはぐらかされてしまってサラッと読み終えてしまうのが残念なところだ。今回の場合内戦の被害から愛しい人とその子供を隔離しておく必要があったことを多く語らない姿勢に反映されはしても、やっぱりその傾向は変わらなくて残念だ。けれど、ベスの純粋な「愛人にして」発言には驚いたが、共感もした。