ネタバレ・感想あり波津彬子短編集のレビュー

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人間模様の妙、説明できない奇妙
2026年8月23日
198ページ。
大正時代を舞台にした短編集。不思議要素もあって、著者らしい1冊になってます。
シリーズになっている話もあって、目次部分でそこがわかるようになっていた方が本の造りとして親切だとは思いました。
フラワーコミックスだけど、掲載誌は『ビッグコミック』(1作を除いて増刊)。あとがきによると、ビッグコミックの読者層とは違ったものを……と、まずお嬢様漫画(この本の後ろの方に収録)を描いたそうで。そういうとこ好きですわ。ウケなかったらしいですけど、とってもチャーミングな令嬢で可愛らしかったですわ。全篇星5つ。
〜〜〜〜〜
・『鸚鵡』『兎』『占い』
貴彦氏を狂言回しに、従姉妹たちが華を添える、シリーズ3話。
人間模様の妙と、ほんのりした奇妙と、バランスが絶妙。
特に『兎』が良かったです。あと、従姉妹の妹が鸚鵡に教えた言葉がかわいかった。

・『狐』
男性主人公。苦手な先輩とそこの女中と。少しややこしい人間関係と、少し不思議な含みのある話。

・『絵の中の女』
男性主人公。友人に抱く複雑な気持ちと、幽霊画と。うっすらと闇のかかった怪談話。

・『三歩下がって』『白百合の君』
小説家を目指す、夢見る女学生シリーズ2話。元気いっぱい夢(妄想)いっぱいで、とってもかわいらしい話でした。
どちらも主人公以外の人の恋愛絡みのお話なんですが、どちらにもそれぞれ趣がある。そして、この時代の女学生で恋愛で、っていう要素だと、「女性の権利」などで大上段に構えたような話作りが多くなりがちな気がしますが、この作者さんはそういうのではなく、本当の意味で「自由な女性」をしなやかに描ける、数少ない作家さんだと思います。

・『失せもの探し』
結婚一年の夫婦、探し物と疑念と。お嬢様と忠実な侍女って良いものですね!女の秘密は秘密のままに、その方がいいこともあるのです。
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