独身は既婚より腰を落ち着けていない人間だとして信頼が少し少ないのはありがち。女性は仕事を何倍もしても認められなかった、というのも、男社会のこの世の中、何処でもそうだなと思う。
既に女性の地位向上が日本とは比べ物にならない位進んでいる欧米でも、やはりそこまで社会が変わるまで、本作のように女性には様々な障壁があったのだろうと想像する。
それを、ヒロインの頑張りをキチッと評価出来てしかも、それなのにヒロインが昇進してこれてないということに本気で怒ってくれる彼、男女の愛がベースにあるとしても、素晴らしいサポーターである彼ジョシュというキャラ設定に、まず感動した。本当にヒロインでなくても彼はヒーローと思う。「私だけの戦士」でいてくれる、その贅沢が本当に素晴らしい。
また、少なからず日本との違いに驚いたのは、「女性」も独身が昇進に不利ということ。ヒロインの勤務先社長の考え、と設定されているが、少なくとも日本はその逆で、数年前まで結婚したらいつかは辞めるものとされ、女性は結婚と出産のために昇進は枠外、更に進退にも関わり雇用調整弁扱い、そうした花道コースから遥かに遠ざけられて、一人前に扱われなかったから。雑用は「それは女の仕事」として、男性の喫煙の掃除さえ押し付けられていた。
面倒くさいこの社長の思考と、モラル上で危ない社長の過干渉とは、かくあるべしとの硬直的な人間像を振り回すことのの醜悪さを、このストーリーであぶり出している。
今は友でも過去は彼のジョシュを指名してきたヒロインの希望に気安く応じた友人と、過去少なからず彼に心引っ掛かるものあったればこそのヒロインと、ヒロインの期待以上の働きを周囲が羨ましがるほど見事に成し遂げる彼、この三者の人間関係は、話の中でさらり語られはするものの、うまく行くのが稀有な印象の構図下で、友情の破綻が無く、驚きはある。
だが、より驚かされる、というか面食らったのは、ジョシュのプロポーズ以降の流れと彼の心理、そしてヒロインの思考のプロセス。
私には消化しづらかった。
人物の絵に、親しみは大いに持てるものの彼のもてはやされよう価する、登場時のコマの演出が欲しかった気が。