未来に会えなくなる時の心配より、それを恐れて今、一緒にならないでいる時のその会えない時間が苦痛というのは、それはそうだわ、と納得の理屈。
人物以外の絵は全てとても素晴らしかった。
絵の好みでは星数は減らさないので、これは純粋に「約束」の意味についての疑問。心の底から願っても、どれほど頑張ってみても、守れる約束になるのかどうかは、わからない。職業柄、飛び込まなければならない事件はあるだろう。絶対というのは無い。ヒロインは腹をくくって結婚したのだからそれでよいのだけれど。
ただ、私はそういう職業に就く人の、使命感というか、正義感に、人間の尊い生き方を見た気がするので、そういう人を好きになったヒロインは、そこに魅力を感じているのではないのかと思ってしまう。
見た目のタイプが似てるとかではないし、出会いは職業を知る前でもあるし。ヒロイズムへの嗜好とまでは行かなくても、ヒロインは価値観や行動に滲み出るそういうキャラに、タイプとしてひかれてしまう、というところがあるのでは?
彼にしてみれば、ヒロインの前夫とは無関係にヒロインと知り合ったのに、ヒロインの過去に囚われなければならない。まるで前夫が亡霊のようにつきまとって妨害しているようなもの。
それでも、この人はいい人だ。
そこが読んでいて、すーっと清冽な、警官を志した心根と通じるまっすぐで正攻法の強さを感じてしまって、人物絵が好みであるとかないとかを越えてしまうところなのだ。
パッと明るく前が開かれるような話ではなく、ほとんど色調が落ち着いていて、事件もポチポチ。そこを、問題解決というよりも一個一個乗り越えていく、日常を丁寧に生きている者達の人間関係の中で展開されるささやかなドラマ。
人物が地味だからこそ、描ききってる、という気がする。