会ったときから向けてしまう視線をはずせなくて、手に触れたときから感じる何かが体を反応させ、二人は初めからいつかそうなる気がしていた。否ヒロインは違うと思ってみたりはあった。
あまりに衝撃が重すぎて事件により凍っていた心を、彼が融かしてくれた。変わりたいと、望んでいた自分が、そのきっかけを期待できる予感がどこかにあった。
乗り越えることがことだけに、ストーリーはその関連のシーンに紙幅を割いていて、しかも花でごまかすとかあまり無し。避けられぬこととはいえ、アダルト色が濃くて、しかも、傷を癒すためと、立ち直ったときと、事件の回想複数回と、異なるケースで表され、正直多いと感じる。自分から抱いてというシーンも場面転換が急すぎて繋ぎがなく、余計その印象を強める。
助監督である彼の妹は特別な役回りを与えられていたわけではなかった。従って妹の登場と会話がなんとなく宙に浮いてる。
なぜ、脚本を作ったKCE本人が作中の人物をそんな風に造形したのか? 自分がプロデューサーならば、キャスティングは考えるだろう。自分の起用した監督が思い付きそうだと警戒しなかったのか?
架空の町を想定しながらも、土地勘のあるところに収まってしまうその成り行きに、家族に会わせる動機ありきのストーリーに見えてしまう。
公私混同の後ろ指一切無しに、二人は皆のいるところで二人の世界に入り愛をかみしめる二人。いくら恋人同士でも、その授賞式風景を放送したテレビ番組では、そういうの無かった。HQだけれど、でも、それはやっぱり顰蹙なのではないか?
ただ、ヒロインにとり自分が変わってしまったほどの深い傷。心に負った傷が深すぎて
それを乗り越えるチャンスは今までなかった。
彼は特別。自分をさらけ出してもいい相手。
こういう特別な出会いをしたいものだ。