と言いたくなる、ボリュームもテーマも凄い作品でした。
戦史作品が好きな方なのでドキドキハラハラするエンターテイメント作品としても、無知だった潜水艦自体と潜水艦での戦略知識を具体的に得て学ぶ作品としても、楽しめました。
戦争を実体験していない地域や世代でも、身を切れば血が流れること、急所に命中するか失血多量ならば絶命する、近代より前を扱う作品の方が現実感を伴い、戦争の是非なり意義なりを個々に考え易いはず。
ところが本作品は、近代以降の武力による戦争とはどういうものかを、現在進行形で『現実社会で起きている』国際政治と伴に分かり易く描いています。
これでも描き尽くしていないからこそ、かわぐち先生の作品テーマに国際政治、軍としての自衛隊と武器、登場人物の葛藤と駆け引きが登場するのでしょうね。
戦争もしくは程よい喧嘩のある程度普遍的な価値観を見出だす上で、はだしのゲンに限らず教育現場や家庭で取り上げてはどうかと思う良著でしょう。