復讐してやる!と息巻いていたのは最初だけで、あとは尻に敷かれる億万長者の物語で表題通り「ひれ伏した億万長者」でした。少々見せ方に問題があり感情移入がしづらいように感じます。説明文も、グエンナの母のマシー・マナーという物件の説明も的外れな感じでモヤモヤします。キャラそれぞれには違いがはっきりさせてあってよいのですが表情が今一つ。魅せるべきところの絵のセンスが足らないのかな。展開にもアンジェロがグエンナを追いかけるあたりの切迫感がないし、グエンナがアンジェロから去っていくところのセリフも何でそうなるのかよく理解できない。そのセリフを吐かせるための事象にインパクトが無さすぎに感じます。全体的には必要ないところは潔くカットされていて運びが良いのに説明不足。分かっている人が分かっているように読むといった罠にはまってしまっています。それでも物語は面白く、母の姿を反面教師としてきたグエンナがよく表れていて、愛人という契約とはいえ宝石や豪華な邸などでは懐柔されないという頑なさが読んでいて心地よい面白さがありました。