主人公は家庭環境から自分の本当の気持ちを隠して生きているので、言動が本音なのかわかりにくいのですが、それぞれの登場人物の心情が丁寧に描写されているので、みんなが何を考えているのかがよくわかって、行動にも矛盾がなくてすっきり読めました。小説の全編にきれいな挿絵がついているという感じで、それが一つの作品としてバランス良くおさまっていると思いました。長いお話ですが、すべて必要な話でうまくつながっていて、番外編も全部良かったです。真魚の言葉遣いが男っぽいのも、時代劇が好きで変な趣味なのも、料理が壊滅的に下手なのも全部意味があったりするところもすごく考えられていると思いました。本当に読んでよかった作品です。またゆっくり読み返したいと思いました。