穏やかな家族愛の集大成のようなストーリー。
出発は家族ではなく、きちんと家族を形成する、という流れ。
のんびりとした中にじんわり気持ちの成長があって、ストーリー終盤、3人が「家族」になる段階では、既に当人たちも周囲も、それなりに、心持ちが既定路線のごとくになっている。
激情型でなく、静かな愛というのはいいのだが、プリンセスであるゾーイの気持ちが通り一辺倒の描写に見えることが気になる。
王位継承を回避したい王子を冒頭に出していながら、ゾーイなくてはストーリーが回らない割りには、なんだか、ゾーイがダシみたいになって彼女が存在することの重要性は伝えてきてもらえてなかった。
ヒロインも、気鋭の海洋学者にしてはー?、という疑問が所々沸き起こる。
綺麗なストーリーだが、お話きれいだね、で終わってしまう。