◼︎人を従えさせるのは「暴力」である。そんな身も蓋もない世界観と価値観に身を置く二人の野心溢れる若人が、知恵と胆力で暴力と狂気蔓延る権力機構を生き抜いていくお話。◼︎とにかく迫力が凄い。迫真の表情、狂気的なまでに描き込まれた背景、凄惨なシーンも多々ありますが、血と勢い無くしてこの漫画は成り立たないと言っても良いほど読者に強烈に訴えてきます。ともすれば極端極まりない暴論も、荒唐無稽な作戦も、全てがこの上ない説得力を持って叩きつけらる暴威そのもののような作風。◼︎敵も味方もキャラクター造形が凄すぎる!主人公たちは東大でのエリート。力も口も達者で、冴え渡る知恵も溢れんばかりの野心も鉄仮面の下に隠して策謀を巡らすことのできる有能超人なのですが、それすら食ってしまうほどの圧倒的な存在感に満ちた二台巨頭──主人公の実の兄(腹違い)にして神奈川を仕切るヤクザの親分【征二郎】と、警察官僚でありながら暴力(拷問や射殺)も辞さないばかりか、生き残るのためには反社やカルトとも繋がりを持つ強烈無比な悪役【柿崎】が、互いの組織力と人脈金脈、権謀術数の全てを使って繰り広げる息もつかせぬ丁々発止の攻防は凄まじく、当初は容易に与し易いと息巻いていた主人公たちも生き残るのに必死になる程の「蚊帳の外」っぷり。情実と組織の長という立場の間で揺れ動く征二郎、天より高いプライドを持ちながら、何度失敗、失脚しようと、顔を焼かれ、男性として、エリートとして最大限の恥辱と屈辱を味わおうと、這いずり、靴を舐め、生き抜かんとする怪物柿崎の執念、こんな強烈で複雑なキャラクター、昨今ではなかなかお目にかかれません…◼︎暴力礼賛でありながら知力が物言う世界。この作品において暴力は手段でしかなく、いかにそれらを使って目的を達成するかに主眼が置かれます。凄惨な殺戮劇にも、凶悪なテロ行為にも、その全ての裏には冷徹な神算があり、血みどろの抗争劇の裏では騙し合いと駆け引きの自他の命を張った知のレースが繰り広げられているのです。◼︎誰も彼もが薄氷の上を歩むような舞台故のシリアスな笑いも必見。迫真の表情で狂気の暴論をのたまう主人公たちは、一歩離れた所で見ればシュール極まりないのですが、作内においては不思議な説得(脅迫)力を持ちます。◼︎兎にも角にも、この唯一無二の暴力絵巻、狂気の野望の行末を是非ともご覧ください!