好きな作品なのでレビューに加わりたくなりました。
最近完結の長編の方が好きですがこれもドキドキの場面がうまい。丸井くんの光速の寄せは当て馬に収まりきらない抜群の存在感。意識しないという方が無理なほどに、強く鷲掴みされそうな勢い。主人公たるもの一途であれ、との感想の人も世の中いるようだが、揺れることだって、人によってはあることだろうと思うのに聖人ばかりでは、そっちこそ漫画だけがキャラが偏ってしまう。丸井くんにこう来られて、平然としていられる方がおかしい。
滝くんのキャラ、個性的でつかみところがなくて、でも二人でいるときの空気がなんともいい味出ている。この彼の感じ、分かりやすい訳ではない。だからこその、こっちの彼が
滝くんの主体のストーリーなんだろうが、あ~丸井くん、って肩を叩いてあげたくなる。
雨降って地固まった状態の、あとはさっぱりエンディングまですぐそこというときに、飛行機雲の空を見上げる滝くんの横顔が、それまでと同一人物視できないほど違和感あるところだけ、そこだけ、何度読んでも読者としては気持ちが安定させられなかった。たったひとコマのことなのだが、収まるところに収まった二人の結末に100%安心して受け止めにくくなってしまう。私は読むたびに、このコマを持て余す。
全編通じ、ピュアでかわいらしい。
発表時期が互いに近かった大ヒットした別作者の作品がやはり何度か定期テストの赤点ネタを使っているので損したかな。でも、一方で、丸井くんへの親近感に欠かせないところかな、とも思う。学校が舞台の作品は、扱われるイベントが似通ってしまうことが避けられず、作品の個性追求はなかなか難しいことに気づかされる。