星百個くらいつけたいね。私事で恐縮ですが、5巻くらいまで読んで『これは完結してから一気読みのが面白いな』と思って寝かせていたんですけど、いやもう本当に面白いな。読み手側の気質にもよると思いますが、私は佐藤(サミュエル)を面白く感じてしまって、日本政府乗っ取りした場面なんか完全に悪役寄りになって爽快感すら覚えてしまった。もちろん、その裏で死者○○○名と数字になった人たちは痛ましいし気の毒だし身内だったらブッ○すぞ!てなるだろうけど、エンタメとして距離を持って読むと、こんなに爽快な愉快犯もない。それは、たぶんだけど、佐藤が悪意をもって実行したわけではないからではないかと思います。その分、サイコパス的な怖さは際立ったかと思うけど、傲慢な悪意からくる犯行ではないのが気持ち良かった。また、遊びかサバゲー気分で殺しまくる佐藤との対比で、個を捨て組織や命令などではなく、国民を守る志のために命を散らしていった骨のある軍隊がまたかっこ良すぎた。そういう行いを賞賛したら倫理的にいけないってわかってるよ。わかってるけど、かっこいいと思う心は止まらないのだよ。彼らは正しく国民を守る剣であり盾であったなって。
また、後味の良さは綺麗なエンディングを迎えているというのもあるけど、例えば佐藤がアウトローものの悪役にあるような傲慢とか強者が弱者をもてあそぶ悪意だったら、もっと胸くそ悪い終わりだった気がする。終わり方もうざいモノローグとか謎のナレーションで済ませるのではなく、主要人物たちのその後や日常を遠景から描いてるのがかっこいい演出だった。その上で、締めが永井圭の一言なもんだから、クール以外の何物でもない。これは国産映画などではなくハリウッドで映画化して、日本をブッ壊してほしいよね。でも、そうなると現代の指紋認証や網膜認証は生体認証がついてて、死体の指は使えないんだよな…。そこをどうするか。時代を当時の設定にするか、代わりの何かを考えるか。イケメンよりも、ハリウッドの個性的なアジア系俳優で実現してほしい。
あと、個人的な小さい話。圭のかーちゃんがただの毒親でなくて良かったし、海斗が死んでなくて本当に嬉しかった。中野は最初から最後まで生理的に嫌いだったんだけど、癇に障る理由は9巻43話『ケンカ』174~175ページに集約されている。
完結おめでとうございます。桜井先生、完走して下さりありがとうございました。