現代に生き残った忍びたちが秘術をめぐって争うファンタジー。。。というとアクションガンガンで友情!勝利!!みたいな熱血と思われるかもですが、本作はどちらかというとずっとローテンション。アクションもありますが、登場人物たちの内面を重視した描写が多く、『叙情的ファンタジー』というイメージです。
主人公はまさにローテンションの極み・壬晴。なににも本気にならず、のらりくらりと日常を送っていた高校生でしたが、ある日、秘術・森羅万象をその身に宿していることが忍びの世界に知られ、命を狙われることに。壬晴を守るのは学校の先生・雲平、忍道部を作ろうとする相澤、侍を名乗り刀を持つ雷鳴。学校の部活として活動しながら、森羅万象の謎を解くため、五つの忍びの里に伝わる禁術書を敵と奪い合うことになります。
おもしろいのは敵味方が入り乱れていてはっきりしなかったり、味方の方が秘密主義で謎が多かったり、壬晴が敵側の宵風のほうに同調してしまって味方に秘密を作ったり、登場人物だれもが一筋縄ではいかないところです。
終盤になって序盤から出ていた知ってるはずのキャラが「えっ、こんなキャラだったの?!」と驚くことも多く、黒幕も意外は意外なのだけど「よく考えれば納得」とも思うキャラ造形で、すごく多面的でおもしろかったです!
まさか、宵風と雪見をこんな好きになるとは!!という。。。宵風の人生が切なくて切なくて。。。でもこの2人はこういう結末がハッピーエンドで、命とは『生きてる・死んでる』以上に『どう生きたか』つまり『だれにどういう影響を与えたか・だれの生きる希望になりえたか』そういうことも大事なんだな、と教えてもらった気がします。