以前読んだHQ「ひとりぼっちの狼/岡本慶子作」にプライドはその価値以上に犠牲の多いものとあったのを思い出した。この物語を読んでいると まさしくそう思った。ヒーロー、ヒロインのどちらにウエイト大きく読んでも気の毒すぎて苦しくて喉が詰まる。自己保身しなくては自己を保っていられない、彼を、彼女を好きな気持ちは本心だから、その人に相応しいと思ってもらいたい、必要とされていたいその気持ちが槍のように画面から突き出てくる。記憶を失ったメロディの素直な自己表現が解決へと導く主軸だが、彼女が可愛らしくてそして気の毒でならない。そんな彼女に惹かれていくアッシュも「復讐」と考えていたはずなのに、一途に向けられる愛情に戸惑いながらも喜びを蓄えていく様子は2人の明るい未来を大いに期待できた。それぞれの「嘘」に本来の自分で後悔し、謝罪し、未来を語るのに記憶の無い日々がその裏付けとなっている事に大いに納得して幸せな気分にひたれた。