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7作入り短編集。奇妙な事象の話、という印象。絵的には怖かったり気持ち悪かったりしますが、心理的に抉り込む恐怖というのはあまり感じられなかったです。この感じだったら、不思議を突き詰めた美しさみたいな方面に寄っていた方が、自分の趣味には合います。
表紙よりも中の絵柄が良くて、なぜこれを表紙に……?とは思いました。
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・表題作 第一次大戦のドイツ、夫の帰りを待つ女。芋虫尽くし。
・『ジグ・ザグ・ボックス』懐かしのマジックショー、あやしい魔術団とそこを訪れる疲れた女性二人。
・『獣謳道 レディース限定』格闘技での禁じ手、噛みつきと獣性と人間性。噛みつきへの覚悟、実際、女子にはけっこう大事かも。突然Rシーン入りでびっくりしました。掲載誌どこだったんだろ。
・『背徳の掟』高校生女子二人。得体の知れない転入生と仲良くなる主人公、笑いをまじえての……割と青春ストーリーだと思う。
・『呪いの鉄仮面』女子校の古い礼拝堂に転がっていた謎の鉄仮面。いじめ、騎士への憧れ、助けてくれる先輩、引き起こされる事件、そして鉄仮面の正体。
・『暗黒深魚』持病の肌荒れと海洋深層水。男の不気味さがもう少し出てたらもっと良かった。
・『夜空に消える』受験を控えた女子中学生、塾の帰り道にある博物館。プラネタリウムでいつも会う同学年の少年、「ここではないどこか」への憧れ。