宇宙に行くことを志願して飛行士になれる人がいるのが今の時代。しかし地球外生命体の存在確認は穏やかなことばかりじゃない。人類が衝突を繰り返して争いを避けてこれなかったテーマも見え隠れ。
望んでいるわけではなくて、宇宙へ送り込む機関のほうで選んだとしたら? みんなの代わりに誰かが行ってくれるのだとしたら?
ポテンシャリティを買われたのかもしれないけれど、当人にはそのときの自分の延長線上にやりたいことがあったなか、ささやかな日常が奪われた。
また、身近な人が宇宙へ決して楽しいばかりでもないのに長旅へ。想像を超える遠距離恋愛(!?)。一口に何光年というけれど、連絡のインターバルも、つれて遠ざかる。
その切なさ。
2017年に国立新美術館で行われた新海誠展において映像展示があった。鮮やかな色が使われていて、感覚的にかっこいい、そして、短いのに引き込まれる作品群だった。この「ほしのこえ」というタイトルもそのときに注目していたもの。
「君の名は。」、「天気の子」、「すずめの戸締まり」、は映画館で、「言の葉の庭」は飛行機で観た。いずれもアニメーションの美、という感じがあるだけに、漫画化されるとどうなのか、という興味はあった。
佐原先生は既に数作品読んできて、漫画化にあたる漫画家として申し分ない。ただし佐原先生の個性は消える懸念もあって。。
新海監督作品は青の色遣い(あと緑も)が印象的だと思うが、漫画ではそれは出せない。
しかし、もどかしい交信の積み重ねと、記憶を思い起こして懐かしむ気持ちなど、描いてあって、夢ばかりではない宇宙進出が感じ取れて、深かった。