自分の考えが正しい、と考えて生きている人がいるならばその人は傲慢な自己中心主義者です。一般的には正しいか否か日々自問自答して生きています。毎日の忙しさに疲弊しそれがなされないのが現状ですが。物質的には裕福なラリッサが父親から愛されたくて引き起こす行動が、年齢を重ねるごとに捻くれて父を貶める行動へと変化していった。そして28歳になってその行動にやっと自問自答するようになった。それを理解し支えてくれ結ばれる男性ジャックとのやり取りが面白い。しかし、何度も繰り返すそれらは少々やりすぎ感がありゲップが出る。ラリッサとジャックとのやり取りを少し抑えてジャックの抱える背景についてを描くスペースが欲しかった。ジャックがラリッサに惹かれている事は伝わるのだけれど、なぜこうまで彼女でなければならなかったのかを説得する材料が足りない。語られているのは、彼女の学業に対する姿勢らしきものがほんの少しだけ。あまりにもラリッサの甘ったれな自分放棄な行動だけがピックアップされていて読み手をイラつかせる。彼女の設定はそうなのだったらドレスを着た自分と普段着の自分との対比を自覚させるなりの内面描写が必要で、いきなり慈善活動することと、自らの姿の充足感というギャップが示されないと説得されません。娘を顧みない父親なんてサッサと切り捨てて自分の希望を見つけて独立すればよかっただけなのにと後々わかるラリッサが滑稽です。